お米価格の総評【2026年7月】47都市の動きと値上がりの背景

2026年7月のお米価格は、全国スーパーの平均で前月・前年同月を下回りました。農水省のPOSデータによる月間平均は、税込5kg当たり3,370円。6月より219円、2025年7月より205円安い水準です。まず図解で7月までの値動きと高騰の背景を押さえ、47都市の価格ランキング、8月の販売価格、9月の政策へと見ていきます。農水省「米に関するメールマガジン」第150号

この記事では、全国の傾向をPOS平均、地域の違いを都市別価格で読み取ります。農水省の月次集計は、全国約1,000店舗のスーパーや生協などのPOSデータで把握できるすべての精米を、5kg袋の販売価格に換算して加重平均したもの。ランキングには、総務省「小売物価統計調査」の単一原料米2品目を使います。対象の商品や店舗が異なるため、47都市の単純平均を全国平均とは扱いません。農水省「米に関するマンスリーレポート」2026年8月号・消費-11、総務省・小売物価統計調査の結果

7月までの動向:全国スーパーの平均が下がり、都市別にも下落が広がる

図1では、1月から7月まで毎月下落した流れが分かります。全国スーパーの平均価格は、2026年1月の4,248円から7月の3,370円へ。6月の3,589円からは6.1%、前年同月の3,575円からは5.7%下がりました。増減率は農水省の公表価格から計算しています。農水省・月次の小売価格(2026年8月号、消費-11)

平均の下落には、売れる商品の構成の変化も影響します。ブレンド米などを含む集計なので、個々の商品の値下げに加え、どの商品がどれだけ売れたかで平均も動きます。いつも買う銘柄が、全国平均と同じ割合で安くなったという意味ではありません。

都市別に見ても、7月は下落が広がりました。コシヒカリは36都市で下落、5都市で上昇、6都市で横ばい。コシヒカリ以外は40都市で下落、5都市で上昇、2都市で横ばいです。この都市数は値下がりの広がりを示し、人口や販売量で重み付けした全国の下落率とは異なります。2026年6月の原表、7月の原表

ただし、以前の価格水準に戻ったわけではありません。2025年7月比では、両品目とも39都市で下落、7都市で上昇、1都市で横ばいでしたが、2023年1月と比べると47都市すべてで高いままです。昨年からの値下がりと、それ以前から続く高値を分けて見る必要があります。2025年7月の原表、2026年7月の原表、2023年1月の原表

2024年の品薄と、2025年の備蓄米対策

図2の要点は、高騰の背景に複数の事情が重なったことです。2024年夏について、農水省は8月27日の会見で、6月末在庫が近年低い水準だったこと、新米が本格的に出回る前の時期だったこと、地震や台風に備える購入、盆の物流の停滞などを挙げています。農水省・2024年8月27日会見

2025年には、流通を円滑にするため備蓄米の売渡しが進められました。農水省は2月14日に計21万トンの売渡し方針を公表し、初回15万トンは3月の入札・引渡しを予定すると説明しました。発表から店頭に届くまでには時間がかかるため、政策の発表月がそのまま価格に影響する月になるとは限りません。農水省・2025年2月14日会見

同年5月には、小売業者に直接届ける随意契約も始まりました。5月26日から受付が始まり、Reutersは、流通を速め、低価格で消費者に届ける狙いを報じています。備蓄米の販売価格と、ランキングで扱う単一原料米2品目の調査価格は、対象の商品が同じとは限りません。農水省の随意契約資料、Reuters・2025年5月26日報道

図2に示した背景は、原因ごとの影響の大きさを示すものではありません。農水省の2025年8月の事後検証は、需要減少を前提にした見通し、精米歩留まりの低下、実際の需要増加、在庫の取崩しなどを整理しています。精米歩留まりとは玄米から精米にした際に得られる量の割合です。資料も需要増加の要因をすべて特定する難しさを挙げており、一つの事情だけで価格変動を説明することはできません。農水省「今般の米の価格高騰の要因や対応の検証」

2026年7月の米価格ランキング:全国47調査都市

7月のコシヒカリは、札幌市の4,933円が最高、新潟市の3,578円が最低で、差は1袋5kg当たり1,355円でした。下の表はコシヒカリの価格が高い順に47都市を並べ、コシヒカリ以外の価格も併記しています。同額は同順位で、21位が2都市あるため次は23位としています。すべて税込・1袋5kgの価格です。総務省・2026年7月の都市別原表

順位都道府県調査都市コシヒカリコシヒカリ以外
1北海道札幌市4,933円4,438円
2埼玉県さいたま市4,871円4,709円
3岡山県岡山市4,802円4,370円
4沖縄県那覇市4,784円4,622円
5茨城県水戸市4,730円4,109円
6秋田県秋田市4,719円4,457円
7滋賀県大津市4,677円4,650円
8石川県金沢市4,669円4,353円
9青森県青森市4,649円4,028円
10神奈川県横浜市4,587円4,104円
11東京都東京都区部4,564円4,460円
12福島県福島市4,551円4,077円
13大分県大分市4,520円3,894円
14大阪府大阪市4,518円4,279円
15三重県津市4,514円3,889円
16山口県山口市4,487円4,163円
17和歌山県和歌山市4,483円4,167円
18福井県福井市4,466円4,277円
19千葉県千葉市4,440円4,305円
20岐阜県岐阜市4,436円4,182円
21富山県富山市4,380円4,434円
21愛知県名古屋市4,380円4,264円
23奈良県奈良市4,353円4,218円
24鹿児島県鹿児島市4,326円3,786円
25広島県広島市4,313円3,691円
26兵庫県神戸市4,311円4,347円
27熊本県熊本市4,299円4,209円
28京都府京都市4,295円4,439円
29宮城県仙台市4,276円4,113円
30福岡県福岡市4,273円3,964円
31長崎県長崎市4,271円4,001円
32長野県長野市4,256円4,203円
33山梨県甲府市4,228円4,388円
34愛媛県松山市4,220円4,026円
35香川県高松市4,190円4,163円
36岩手県盛岡市4,161円4,001円
37佐賀県佐賀市4,152円3,869円
38群馬県前橋市4,112円3,829円
39山形県山形市4,109円4,082円
40徳島県徳島市4,082円3,920円
41鳥取県鳥取市4,055円4,163円
42静岡県静岡市4,037円3,944円
43島根県松江市3,894円3,165円
44栃木県宇都宮市3,651円3,656円
45高知県高知市3,642円4,479円
46宮崎県宮崎市3,605円3,840円
47新潟県新潟市3,578円3,506円

表で比較しているのは、各調査都市で売られるお米の価格です。都道府県全体の平均や産地の順位ではありません。「コシヒカリ以外」も単一原料米で、都市によって調査銘柄や店舗構成は異なります。都市名のリンク先では月ごとのグラフを確認できますが、この表は2026年7月の価格に固定しています。2026年7月の品目・基本銘柄

8月の動向:全国スーパーの週次価格も下落

図3では、7月の月間平均・8月の週平均・9月の政策を分けて見ています。農水省が9月4日に公表した8月24〜30日の平均価格は、税込5kg当たり3,112円。前週より44円、前年同期より20.0%下がり、8月の週次価格にも下落が見られます。全国約1,000店舗の販売データによる1週間の平均で、8月全体の月間平均ではありません。農水省・9月4日公表のPOS資料

9月の動向:備蓄米の買戻し方針と、その後の価格を見守る

図3の9月の出来事は、備蓄米21万トンの買戻し方針です。農水省は9月1日、まず2025年産米を対象に手続きを進めると説明し、9月7日のReuters報道では、官房長官が食料安全保障上の備えを目的とする方針を述べています。これは7月の統計より後の政策で、店頭価格への効果を確認したものではありません。農水省・2026年9月1日会見、Reuters・9月7日報道

3,112円は9月の実測価格ではありません。9月8日時点で確認した最新の全国スーパーの週次価格は8月24〜30日分で、9月の値動きは今後の公表を待つ必要があります。身近な地域の推移は47地域のお米価格ページで確認できます。店頭でも品種・内容量・税込価格をそろえて比べると、統計と買い物の実感を結び付けやすくなります。

今後の見通し:備蓄米の買戻しで、また値上がりする?

図3で示した備蓄米の買戻しは、価格を下支えする可能性がありますが、再び高騰するとは限りません。まず注目したいのは、買戻しによって現在の値下がりのペースが緩むかどうかです。以下は2026年9月8日時点の公表資料を踏まえた当サイトの考察で、政府による価格予測や、確認済みの値上がりを示すものではありません。

買戻しが価格に影響するのは、民間で販売できる米の一部が政府の備蓄に回るためです。ほかの条件が同じなら、民間市場の供給余力が小さくなり、値下がりを抑えたり、価格を押し上げたりする方向に働きます。ただし、今回の方針はまず2025年産21万トンを対象とし、政府は供給不足や急激な需給変動を避けながら進めると説明しています。買戻し方針の発表だけで、その後の店頭価格を決め付けることはできません。農水省・2026年9月1日会見、農水省・9月4日会見

在庫米や新米が十分に出回れば、買戻しがあっても値下がりが続く可能性があります。農水省が8月28日に公表した7月末の民間在庫は、出荷・販売段階の合計で162万玄米トンと、前年同月より70万玄米トン増えていました(速報)。前年より在庫が増えていることは、値上がりを抑える材料です。ただし、これは7月末の在庫で、買戻し時点の状況とは異なります。在庫量がそのまま店頭に並ぶ量でもないため、実際の出荷の進み方と合わせて見る必要があります。農水省・2026年7月の米穀流通の動向

再値上がりに注意したいのは、買戻しの規模やペースに対して、民間への供給が追い付かない場合です。例えば、追加の買戻しが大きくなったり、新米の収穫・出荷が想定を下回ったりすれば、価格を押し上げる力が強まる可能性があります。一方で、十分な供給の下で段階的に買い戻す場合には、影響が小さくとどまることも考えられます。現時点の資料だけで「何月に、5kg当たり何円上がる」とは予測できません。

今後は、実際の買戻し量・新米の出荷・民間在庫・全国スーパーの週次価格を組み合わせて確認したいところです。買戻しの発表と値上がりの時期が重なっても、それだけで原因を特定することはできません。同じ調査・同じ集計期間の価格を追い、供給の変化が店頭にどう表れるかを確かめることが、見通しを判断する手掛かりになります。

編集:やおや。都市別ランキングと全国スーパーの月間平均は2026年7月、週次価格は8月24〜30日、背景資料・今後の見通しの確認日は2026年9月8日です。記事内で算出した増減率は比較する月の価格を分母とし、小数第1位に丸めています。